杉並区下井草の顕微鏡歯科・予防歯科・未来型歯科:さくら歯科の吉村です。
今回は『フッ素』に関する基礎知識についてまとめてみたいと思います。この『さくら歯科通信』でも、何度かフッ素に関する記事を書いていますので、最後にそちらもご紹介します。
まずは、フッ素の基本的な事について触れたいと思います。
そもそも、フッ素って何?
みなさんは『フッ素』をご存知ですか?よく、歯磨き粉のCMなどで、『フッ素入り』歯磨き粉などといった感じで出てきますので、全く聞いたことも無いという方は少ないかと思います。
実は、フッ素は、塩、砂糖、リンゴ、みかん、じゃがいも、魚貝類、エビ、肉類、牛乳、そしてお茶の葉っぱなどの食品に含まれており、ビタミン類の様に、毎日摂らなければならない必須の栄養素に位置付けられているんです。フッ素はミネラルの一種なんですよね。(WHO,FAO)これは、あまり知られていない事実では無いかと思います。もともと自然界ではあらゆるところに存在していますので、何か化学的なものでは無いので、怖がる必要はありません。ご安心ください。
では、歯科医療の中では、『フッ素』はどのように位置づけられているかをご説明いたします。皆さんも、だいたいお分かりかと思いますが、『フッ素』は、むし歯予防に関して様々な働きをしてくれます。
主な効果としてあげられることは、以下の通りとなります。
フッ素の効果
●酸の産生を抑制します
歯垢(プラーク)によって起こる、むし歯の原因菌の働きを弱め、歯垢(プラーク)が作る酸の量を抑えます。
●再石灰化を促進します
歯のエナメル質から溶け出したカルシウムやリンの再石灰化を促進させ、むし歯の修復をします。
●歯質を強化します
むし歯は酸によって溶け出すことから始まります。エナメル質が酸にとけにくい性質に修復してくれるので、歯が丈夫になります。
総じて、フッ素には歯垢(プラーク)の細菌の活動を抑えたり、溶けたエナメル質を治したり、歯質を強化するなどのチカラをもっています。つまりは、むし歯の発生を防ぐ効果があり、予防に有効な成分として注目されているのです。
そして、『フッ素』にはざまざまな使い方があります。次に、『フッ素』の使い方についてご説明いたします。
フッ素を使う年齢
まずは、『フッ素』を使う場合の、開始年齢についてです。
何歳くらいから『フッ素』を使えるのか、又、使うべきなのか、という点です。
当院では、『フッ素』は歯が生えはじめてから生涯にわたって使用することが望ましいと考えています。
歯が生え始めるというと乳児期ですね。生後6ヶ月頃になると前歯から歯が生え始めます。こんな赤ちゃんに『フッ素』は大丈夫なのか?と不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、最初に述べたとおり、『フッ素』は自然界に存在するミネラルですので、ご安心いただければと思います。
乳歯などの生えたての歯は、とても軟らかく、早めに歯質強化に努めた方が安心です。歯の健康維持というのは、歯が生え始めた頃から始めるべきだと考えています。まずは、当院にご相談いただければと思います。
そして、歯が生えはじめの頃(1歳前後)は、レノビーゴ(フッ素洗口液)をガーゼに湿らせて使用する方法がいいと思います。優しく塗布してあげるだけで構いません。早い時期から、お子様の歯のケアの意識を高めておくと、幼児期になった時に、歯医者さんを怖がらなくなるので、歯医者さん通いが楽になることでしょう。
さらに、お子様が成長し、ブクブクうがいが上手に出来るようになる4歳頃からは、フッ素洗口をすることが望ましいと思います。もちろん歯科医院での定期健診時のフッ素歯面塗布も必要です。お子様には、『フッ素』の使用法をよく守り、フッ素入りのお水でブクブクうがいをしてもらうように教えていきましょう。
しかし、誤解してはいけないのは、『フッ素』のみでは、完全にむし歯を予防しきれないということです。当然の事ながら、正しい(食)生活習慣を送ること、プラークコントロールをすること、定期健診を行うことを守りながら、更にフッ素の正しい使用を追加することで歯の健康を守ることができると考えています。
フッ素の安全性
そして最後に、『フッ素』の安全性についてです。『フッ素』の安全性や有効性は、WHO,FDI,そしてFAOをはじめ、世界各国の専門機関が認めています。
つまり、決められた使用方法を守っていただければ、まず問題になることは無いということです。しかし、過量に摂取すると害(中毒)を生じますので、むやみやたらに使う事は避けましょう。
きちんと歯科医院にて適量を教えてもらい、生活の中に、どのように『フッ素』を取り込めばいいかを指導してもらってください。適量を守れば、非常に有効な虫歯予防が可能です。
実は日本でも、平成15年には、4歳から14歳までの子供のフッ素洗口の実施を推奨する、「フッ化物推奨ガイドライン」が、厚生省から各都道府県、市区町村に周知されました 。(フッ化推奨ガイドラインについては、こちらのサイトをご参照いただければと思います。https://www.jda.or.jp/park/prevent/index05_16.html)厚生労働省は2003年1月14日、厚生労働省医政局長および厚生労働省健康局長連名により全国各都道府県知事にあてて「フッ化物洗口ガイドライン」(医政発第0114002号、健発第0114006号)を通知しています。
様々な情報が流れる社会において、❝フッ素は安全ですか?”と聞かれることがあります。
このように聞かれた場合には、「風邪薬もフッ素も薬です。決められた使用方法、用量を守ることが大切と考えています。」とお伝えしています。『フッ素』を使用するかしないかは、ご本人のご判断にお任せしています。
ただし、常に必要な説明は怠らず、患者様にご理解をいただきたいと真摯に考えております。
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https://www.sakura-sika.com/sakura/953.html
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日付: 2017年7月24日 カテゴリ:お知らせ, さくら歯科通信 and tagged フッ素