杉並区下井草の顕微鏡歯科・予防歯科・未来型歯科:さくら歯科の吉村です。
にしだわたる糖尿病内科院長の西田 亙先生は「内科医から伝えたい 歯科医院に知ってほしい糖尿病のこと」を執筆なさっており、東京での講演があると伺い、参加して参りました。
2016年に日本糖尿病学会では、糖尿病治療に歯周病治療の有効性を認め、推奨しています。糖尿病の指標であるHbA1cが歯周基本治療で0.38~0.66%低下することが世界で報告されており、それをうけての推奨だそうです。(糖尿病診療ガイドライン第13章歯周病と糖尿病より)
(ちなみに、歯周病治療でHbA1cが0.4%程度下がると経口血糖降下薬で1錠に匹敵するそうです。当院の来院者の方もHbA1cが「1」%下がって、担当した歯科衛生士にお礼の言葉をいただいたことがあります。来院者のお身体の健康にまで寄与できたことを担当した歯科衛生士も大変喜んでおりました。)
では、なぜ歯周治療が糖尿病治療にも効果があるのでしょうか?
歯周病はばい菌の感染で起こるとされています。この感染で身体を守ろうとする細胞(免疫細胞)から信号(サイトカイン)が出されます。この信号は身体を守ろうとする細胞を増やしたり、感染部分に細胞を集めたり、などをして炎症を引き起こします。しかし、炎症は身体を守ってくれる半面、身体を傷つけてしまうのです。
また、歯周病は歯周炎とも呼ばれています。昔でいう歯槽膿漏は慢性(辺縁性)歯周病(炎)と言い、歯茎に炎症が起こっている状態で信号をだします。この信号が全身の血流にのって血糖値を下げる働きをもつインスリンの効きを悪くして、血糖値を上昇させます。つまり、歯周病による炎症物質は血流にのって糖尿病を悪化させるのです。
(歯茎が赤いのは、血液の影響です。歯茎を押すと白くなるのは血液が流れにくくなるからです。(歯を磨いて血がでるのは、歯茎からの出血が原因です。)お時間がある方は鏡を用意して、やってみてください。・・・ほら、白くなったでしょう?)
歯周病は糖尿病ばかりではなく、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化、早産、低体重児出産、関節炎、腎炎との関係も疑われています。
今、歯科界では医科とのコラボが進んでいます。摂食嚥下、誤嚥性肺炎、周術期医療、睡眠時無呼吸症候群・・・全身の一分野を担う歯科ですが、今までは医科とは切り離して考えられてきた部分もかなりあると思います。歯科しかできないことばかりでなく、「歯科と医科が連携をとること」が皆さんの健康を守り育てることにつながっていきますし、さくら歯科ではそのお手伝いを積極的に担っていきたいと考えています。